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INCF「2020 New Year Meetup」を開催

INCF「2020 New Year Meetup」の様子

1月14日、INCF「2020 New Year Meetup」を開催しました。会員企業・団体に加え、今回からご招待した会員外の企業を含め約140名の参加者が集いました。
スタートアップとの連携」と題して、住友生命保険相互会社(企業会員A) 新規ビジネス企画部部長 藤本 宏樹 様からキーノートスピーチをいただいたのに続き、下記5つのテーマでパネルディスカッションを行いました。パネリストとして企業会員Bのうち24社の皆様にご登壇いただきました。

  • 未来の医療・介護

    60年前の国民皆保険制度創設に続く第二の変革期を迎える今、障害者や高齢者など、様々な状況におかれた人のために必要な課題解決や社会サービスを題材に、具体的な事例を交えながら議論を行いました。

  • 自治体と連携した地方活性化

    遊漁券オンライン販売システム、企業版ふるさと納税、VRを活用したアクティブラーニングと、各社の事業内容は異なりますが、自治体との連携にあたっての苦労や課題は共感するところも多く、地域の課題解決の最前線から具体的なお話をいただきました。

  • 新しい食と農

    今回ご登壇いただいた各社は農業の生産性を高めたり、人口増に伴うタンパク質不足に備えたりと様々な挑戦をしています。昆虫食やゲノム編集ブタに対する人々の意識の変化や、理想の農業の未来、事業のスケールタイミングなどを議論しました。

  • 多様な人材が働ける社会

    様々なライフステージの人々が希望する仕事に就ける社会を目指し、各種取組みが進んでいます。職業選択やキャリア形成の自由度を高めるための取組み、人や組織を変えるきっかけ、事業コストの回収方法(異業種・異業態との連携)など活発に議論が交わされました。

  • AI時代のUI

    「AIによりなくなる仕事」が心配されている一方、AIにより生まれる仕事もあると予想されています。ご登壇いただいた5社はICTをどのように活用して社会課題に立ち向かうか日々模索されています。AIと人間が一緒に活躍するための境目を「UI」(ユーザーインターフェース)と定義し、ソリューション提供のポイントやインターフェースの重要性、AIやUIの活用可能性などのお話を伺いました。

また、会場では企業会員Bのうち27社によるオープンデモを同時開催、参加者は各ブースを回って意見交換、情報交換を行いました。終了後には懇親会を開催、参加者間でのネットワーキングも進みました。以下、当日の議論内容の簡単なご紹介です。

キーノート「スタートアップとの連携」
住友生命保険相互会社 新規ビジネス企画部長 藤本 宏樹 様

キーノートスピーチは住友生命保険相互会社で新規ビジネス企画部の部長を務められている藤本さんに頂きました。住友生命は規模の大きな企業ですが、戦後14年で業界33位から3位まで急成長を遂げたように、ベンチャースピリットがある会社だそうです。新規ビジネス企画部も2019年4月にできた部署であり、住友生命の社内スタートアップであると仰っていました。社内でしばしば見られる「not invented here症候群」を打破し、オープンイノベーションで新たな価値を生み出す新規事業を創造すべく、部内で「Don’t stop me now」を合言葉に、日々全力疾走しているそうです。

住友生命のオープンイノベーションの取り組みとしては、新規ビジネス企画部を中心とする「インサイドアウト」で新しいビジネスを創出する活動と、「アウトサイドイン」で外の技術や知見を取り込む活動、さらにはアクサ生命と共同で取り組む介護ビジネスの3つの軸があります。それらは領域が重なることもあるため、うまく協力協調できる仕組みの構築に試行錯誤しているそうです。

部署としてのチャレンジは大きく3つあり、1つは「保険をより身近にする」取組みです。ミレニアル世代を中心に、保険に接する機会のない生活者に興味を持ってもらうきっかけや、保険の大切さを知ってもらう体験を生み出したり、新たなコンタクトポイントを創ったりする取組みに力を入れているそうです。

2つ目は「お客さまをより健康に」というテーマです。住友生命ではナッジ理論を応用した健康増進型保険Vitalityを発売していますが、この商品は1年間の健康的な取組みがポイント化され、翌年の保険料が変動するという長期的な継続の仕組みと、1週間毎に健康増進の目標をクリアーすると特典が貰えるという短期的な継続の仕組みを組み合わせるという工夫をされているそうです。この「住友生命Vitality」を活用した身体の健康増進にとどまらず、お客さまの「心の健康」や「社会的な健康」を増進する新しいサービスや、不幸にして健康を害された方も支えることができるような仕組みづくりに取り組んでいます。

そして3つ目が「社会的課題の解決」です。日本の社会・地域の中で110年を超えて「生かされて」きた生命保険会社として、社会課題の解決につながるビジネスを創造していきたい、という想いだそうです。INCFでは「ママのストレスマネジメント」SIGなどの活動にご参加頂いています。

2019年4月に部署が出来てから、8ヶ月の間で90社と協業に向けたミーティングを実施し、既存ビジネスでの活用が14社と、共創ビジネスプランの検討も14社、さらに実証実験の実施・準備フェーズが4社と、少しずつ成果が出始めているそうです。一方で既存事業の中核に関わる領域では、大企業とスタートアップの時間軸の違い等の課題もあり、そこをどう突破するかが大きなテーマだということです。

現在オープンイノベーションの取組みを試行錯誤しつつ進めながら、住友生命の中での「OPEN INNOVATION 2.0」を創るための挑戦も進めているそうです。1対1からN対Nへの座組の進化・深化、R&D機能の強化、社内インキュベーションの仕組みの構築、投資機能の強化と、「2.0」と呼んでも恥ずかしくないように全方面の強化を目指されています。最後に「『新しい価値』を生む。『新事業』を創る。」ということをチームで一番大切な約束事としているというお話で、キーノートスピーチを締めくくられました。

未来の医療・介護

最初のセッションは「未来の医療・介護」として医療現場や健康維持を課題としている株式会社クォンタムオペレーション、株式会社テンクー、株式会社Moff、BionicM株式会社、株式会社ウェルモ、KAICO株式会社の6社にお越しいただきました。このセッションでは主に患者さんやお医者さんといった、各企業から見たときの利用者さんの意識や価値観をどう動かしていくかという議論が活発に交わされました。

腕時計型のバイタルセンサーを開発されているクォンタムオペレーションは、「針を使わない」ことが患者さんの意識を変えられると考えられています。センサーで血糖値を測るのは体への負担もありませんし、人数の限られるお医者さんの時間も取りません。そして常時血糖値が分かるようになるので、治療の質が高まります。センサー技術による医療の質の向上が技術への信頼獲得に繋がるとのお考えです。

またがんのゲノム医療をAIで進められているテンクーではお医者さんと患者さんに伝わるよう、イラストを活用したレポートも作成しており、患者さんの納得感や病院側の理解を得たという手応えが有るようです。当初、イラスト入りのレポートは参考程度であったそうですが、今ではあった方が良いと病院からお願いを受けるぐらいに意識が変わったそうです。

リストバンド型のセンサー機器とタブレット、アプリを開発するMoffはセンサーをリハビリに活用することで介護する方、介護を受ける方の意識の変化を感じているそうです。今までのリハビリは感覚的に行われていたため専門職の方にしか経過が理解できなかったところが、定量的に観察できるようになり事務職の方や患者さんにも改善具合が分かるようになったそうです。何よりも「これぐらい良くなった」と本人が理解できるためモチベーションが上がり、リハビリ効果の向上にも繋がっているそうです。

電動アシスト付き義足を開発されているBionicMは義足の提供を通して、足を失った方も足を失う前と同じく夢を描ける世界の実現を目指しているそうです。ただ単に日常生活を取り戻すだけでなく、当たり前に「山に登りたい」「おしゃれをしたい」という願望を叶えられるように、意識を変えられるようなものづくりを進めて行きたいとのことです。

必要な介護と対応可能な介護施設のマッチングなどを提供されているウェルモは、AIを活用したサービスを実感した方のAIへの抵抗感が少なくなることを感じておられるようです。介護の現場はアナログな作業が多いため、同じやり方で将来も介護を続けていくには課題があるそうです。そのためにも進め方の改革が必要である一方、8割程度のケアマネージャさんはAIに抵抗感を持たれていたそうです。

カイコを使った製薬に取り組まれているKAICOは厚生労働省からの承認を得るために製薬会社と一緒にチャレンジする必要があるため、患者さんやお医者さんというよりも製薬会社の意識を動かすところを課題と捉えているようです。その他、医薬品の承認を受ける難しさや保険の活用、大企業との連携への期待、介護保険法や薬事法の改正を見据えた取り組みなど幅広い議論が交わされました。

自治体と連携した地方活性化

2つ目のセッションでは自治体と連携した地方活性化というテーマで株式会社フィッシュパス、株式会社ファームフェスと株式会社テンアップの3社にお越しいただきました。スタートアップと自治体は文化や価値観が全く異なるため連携が難しい印象がある一方、地域の活性化という観点では自治体の存在は欠かせません。

フィッシュパスは、全国の河川の環境整備や魚の放流を通じ河川整備の中心的役割を果たす漁協を支援するプラットフォームを提供しています。漁協とのコミュニケーション窓口は自治体の農林水産課ですが、多くの農林水産課では農業・林業に比べて水産業は企業からの話が少ないためか、交渉は進みやすいそうです。それでも熱意のある担当者が付いてくれないと話が進まなくなる悩みがあるとのこと。

基本的に自治体の方との連携は苦労が多いのですが、農林水産業あるいは学校教育といった現場にしっかり入るためには自治体との連携が欠かせないため、各社ともスタートアップと自治体のカルチャーの差を乗り越えるべく努力されています。

農地のシェアリング事業を行っているファームフェスの悩みの1つは、自治体内での多重の承認手続きのために案件がなかなか進まなくなることのようです。町村であれば熱意のある担当者が付いていただければ進められるようですが、市になると課長承認に部長承認と多段階の承認が必要になり、どちらか1人だけでも否定的だと話が進まないそうです。

VRを使った教育コンテンツを提供しているテンアップは自治体とスタートアップのスピード感の違いにお困りのようです。スタートアップは資金調達をしていると事業拡大のスピードが求められているのに対し、自治体は年度予算で活動する原則があるため噛み合いません。他にも「挑戦」を重視か「実績」を重視かという価値観の違いなども議論で挙がりました。

もちろん自治体側もスタートアップとの連携に興味が無いわけではありません。スタートアップの活用に前向きな自治体がローカルベンチャー協議会を組成し、首長も積極的に推進している例も出始めています。社会課題の現場に一番近い自治体とスタートアップの両者がそれぞれのカルチャーの違いを理解し歩み寄れば、社会課題の解決に向け一層加速できるのかもしれません。また大企業から自治体にお声がけすると自治体の反応が良くなったというお話もありましたので、INCFが自治体とスタートアップの橋渡しとしてお役に立てる場面もあるかもしれません。

新しい食と農

「新しい食と農」のテーマではinaho株式会社、株式会社プラントライフシステムズ、株式会社セツロテック、株式会社ファーメンステーション、Ellie株式会社の5社の皆様からお話を伺いました。今回ご登壇頂いた各社は農業の生産性を高めたり、人口増に伴うタンパク質不足に備えたりと様々な挑戦をしています。

戦後の農地開放により多くの自作農が生まれましたが、一方で農地の小規模化に繋がっておりスケールが出ない農業になっています。結果として農業での収益を見込めずに耕作放棄地となっている農地が少なくありません。企業の農業参入も行政からの補助金を前提としたビジネスモデルが多く、持続可能な新しい農業のモデルが望まれています。

最初は食と農を変えるための人々の意識の変化についてディスカッションしました。Ellieは代替タンパク質として機能性昆虫食に取り組んでおられます。数ある昆虫の中でも養蚕により技術が確立されている蚕に着目しており、お話によると他の昆虫よりも食味に優れているそうです。昆虫食は環境意識の高い人を中心に広まりつつありますが、日本国内ではなかなか広がっていません。会場でも、普通に食べてもらうためには栄養価が高いだけでなく味が良く、手頃な価格で手に入ることが重要だという議論になりました。

またセツロテックはゲノム編集技術を活用して効果的な畜産業の実現を目指しておられますが、やはりゲノム編集技術への抵抗感が課題の1つになっています。一方で日本人は明治維新までほとんど肉を食べておらず、マーケティングの結果として肉食文化が根付いたという事実もあり、マーケティングでブランドイメージを醸成できれば消費者に受け入れられると考えているそうです。また伝染病に強い、などの生産現場の課題に応えられれば生産者にも受け入れられるのではとのお話でした。

続いてのディスカッションは理想の農業の未来についてです。AIによる画像認識とロボティクス技術でアスパラガスの自動収穫ロボットを開発したinahoは農業人口の減少を強く危惧しており、そのために少ない農業人口で広い農地を耕作する農業ロボットの開発を進めておられます。負担の大きい収穫作業をロボットで行うことで少ない人数でも広い耕地を活用できるようになるため、将来心配される生産量低下を食い止められるとのお考えです。日本の農業技術は「おいしい」野菜作りに注目が集まりがちですが、スマート農業先進国のオランダのように「量を作る」という視点もこれからは重視されそうです。

またデータを活用して経験知の無い農家でも「何をすればよいか」を分かるようにするプラントライフシステムズも同様に生産性を課題視しています。生産性を高めれば投資対効果が釣り合い、事業会社も積極的に農業参入できるため、ロボットやゲノム編集などさまざまな技術を活用した農業パッケージの開発にパーキングシステムのアマノ株式会社と共同で取り組んでおられるそうです。

各社とも独自の技術や視点で事業を育てていますが、事業をスケールするタイミングもそれぞれ苦労があるようです。未利用資源や休耕地を活用したエタノール生産に取り組んでおられるファーメンステーションは当初は事業を投資家になかなか理解してもらえず苦労したそうです。

ファーメンステーションは高品質なエタノールを生産し化粧品材料として販売していますが、どうしても投資家には男性が多いため市場価値をなかなか理解してもらえなかったそうです。最近はサーキュラーエコノミー、サステナブル、SDGsなどのキーワードで注目してもらえるようになり、ESG投資の先を探す大企業も増えてきて勝負時になってきたと語っていました。

またプラントライフシステムズの場合は今までの実績が科学的に正しいことを証明し、投資家や大企業を説得することを地道に続けてきたとお話されていました。そのためにもPoCなどで実績を作ることを非常に重要視してきたそうです。最後に各社から大企業との共同研究や連携の事例紹介、呼びかけを行い、会場内オープンデモブースでの個別の議論へと移動しました。

多様な人材が働ける社会

4つ目のセッションは「多様な人材が働ける社会」として株式会社アクティベートラボ、Institution for a Global Society株式会社(IGS)、株式会社grooves、株式会社ファミワンと株式会社ワークシフト研究所にご登壇頂きました。このセッションにお越しの皆様は障害の有る方、子育て中の方、地方にお住まいの方など、働きたくてもなかなか働けなくて困っている方のお手伝いと、既に働いている方がより一層やりがいを持って働ける仕組み作りを目指しています。我が国の現状に目を向けると、新卒一括採用と終身雇用という日本型雇用のため多様性や自由度の高い働き方が難しくなっています。その一方で労働人口の減少が進んでいるため、働き方の多様性が求められています。

まずは各社に職業選択やキャリア形成の自由度を高めるためのアイディアをお伺いしたところ、データ化が重要であると回答されたのがIGS、grooves、ワークシフト研究所の3社でした。

IGSでは新卒採用、中途採用の両方で企業を支援されており、企業内で必要な人材像のデータ化により適材適所の人材配置や採用を進めているそうです。職種のデータも多くの企業からデータを取って分析しているそうです。また都市部の人材と地域のニーズのマッチングを行われているgroovesはGitHubなどから技術者のアウトプットを評価しデータ化することでマッチングに活かすなど、データの取り方も工夫しています。育児などが制約になってしまう女性向けの能力開発と人材紹介を行われているワークシフト研究所は人材と職場のマッチングにおいて人格面も重視しているため、人格のデータ化も必要とお考えです。

多様性を受け入れるためには人や会社が変わっていく必要がありますが、どうすれば変わるきっかけを作れるかについてもご意見を頂きました。妊活・不妊治療をサポートされているファミワンは外的要因から強制力を与えたほうが良いケースと、気づきを与え自己変革を促したほうがよいケースがあるとのお考えで、多様性の促進のような明確なゴールがある場合には、強制力を与えつつも、気づきを与えてきっかけを作ることを重視するのが有効だとのご意見を頂きました。

また障害者雇用を促進するマッチングをされているアクティベートラボは組織を変えるためにインパクトを与える必要があり、テクノロジーを活用すればさらに説得力が増すのではとご経験を交えてお話されました。IGSからはデータを活用すれば採用する側が障害者にどのようなバイアスを持っているか気づきを与え、変えていくきっかけになるのではとのお話がありました。groovesは人口減少が既に変わるきっかけとなっており、優秀な人に長く働いてもらうために少しずつできることから変えていけるのではないかとご意見頂きました。

さらに、手助けを受けたい人が費用を払いにくいようなケースの場合、どのようにコスト回収モデルを作るか議論しました。ファミワンは「将来への投資」として認識してもらうことが重要で、負担することで何年後にどのようなリターンが得られるか数値化することが費用負担への理解を得る近道だとお話されました。アクティベートラボは事業モデルを作るだけでなく、費用を負担してもらう方に熱意を持って「このような未来が作れます」とビジョンを語ることも大切だともお話されました。

会場からは「個人のポテンシャルをデータ化できるのか」「退職率予測にもデータを使えるか」「課題解決の効果はどう検証するのか」などの質問があがり、各社から具体的な取組みについて回答がありました。さらにパネラー間でも質疑応答を行い、活発な議論が交わされました。

AI時代のUI

「AI時代のUI」のテーマには株式会社Nextreamer、株式会社ExaWizards、ユカイ工学株式会社、株式会社チカク、株式会社dbEの各社にご登壇頂きました。「AIによりなくなる仕事」が心配されている一方、AIにより生まれる仕事もあると予想されています。今回ご登壇いただいた5社はICTをどのように活用して社会課題に立ち向かうか日々模索されています。今回はAIと人間が一緒に活躍するための境目を「UI」としてお話を伺いました。

まずはAIの導入チャレンジがうまくいかなかったご経験を伺いました。ExaWizardsはAIを用いた社会課題の解決に向けて、顧客企業と協業したオープンイノベーションプロジェクトやAIサービス/プロダクト開発に取り組まれています。様々な産業・テーマで大企業と課題解決に向けた議論をされているそうですが、DXテーマが単純なオペレーションの効率化になると、刈り取れる効果も限定的となる為、企業側の投資余力が小さくなるケースが多いと分析されておられました。

よって、AIで既存業務を効率化するのに加えて、新しいAI搭載側のサービス開発やAIがサポートすることによる現場・経営の意思決定品質の向上、それに伴うトップライン向上にAIを活用した方が改革が上手く進むことが多いと仰っていました。

NextreamerはAIによる自動応答と人間のコールセンターを組み合わせ、AIと人間の双方の強みを生かしたコールセンターを提供されており、AIと人間が協力して働く環境を実現されています。NextreamerはAIで人間をうまくエンパワーするためにモチベーションや文化が社内に必要だと考えられています。企業文化を変えるのは難しいため、NextreamerはコールセンターのAIシステムを企業に提供するのではなく、コールセンター業務ごと引き受けることで、企業文化が醸成されるまで待たなくてもAIの恩恵を受けられるようになっているそうです。

次に直接消費者の方に触れてもらう製品を作っている2社からAIを受け入れてもらうための工夫を伺いました。ユカイ工学はボイスメッセージ機能と、センサーを使った見守り機能を提供するロボット「BOCCO」を開発されています。「BOCCO」は機能的にはスマートスピーカーとそれほど変わらないそうですが、人形のロボットにしたことでお年寄りの利用者に愛着をもって可愛がってもらえているそうです。お年寄りの認知症診断などにAIを活用する議論もありますが、診断するには診断者と患者さんの信頼関係が必要なため、信頼関係をいかに構築するかが重要とのお話でした。

チカクは遠く離れている祖父母と孫をつなぐ「まごチャンネル」を開発されています。「まごチャンネル」はテレビに接続した機器を通してお孫さんからの写真やビデオレターを見られるようにしており、使い慣れたテレビというUIを活用し、使いやすさを優先して利用者に受け入れてもらいやすいよう意識されているそうです。チカクはセコムと共同で見守りサービスも開始していますが、こちらも消費者が意識せずに自然に使えることを大切にしているとのことです。

今回ご登壇された5社の中でdbEは専門的な文書を対象とした文書の検索やピックアップという、専門知識をAIに理解させる取り組みをされています。dbEには専門性の高いサービスを提供する上での工夫をお伺いしました。専門用語をコンピュータで扱う際、その分野独特の言葉がどのような区切りになるのか ―どこからどこまでが一単語なのか― をシステムの辞書に登録しておく必要があります。

dbEでは専門用語の辞書をお客様側からチューニングできるようにすることで運用費を抑える工夫をされています。また比較的短期間でそこそこの精度の出る統計的手法と、3~6ヶ月の学習期間を経て良い精度が出るAIを組み合わせ、時間とともにAIの比率を高めて即効性と高精度を両立する工夫もされているそうです。AIという新たな技術に取り組んでいる各社だからこそ、どうすれば人々の仕事や生活の質を高めるために活用してもらえるかという課題に対して工夫されている様子が伺えました。最後には各社から会場に向けて事業連携の呼びかけを行い、このあとの交流会で個別に意見交換を行いました。

交流会

同会場内で交流会を開催しました。参加者からは、「予想外の出会いがあった」「接点を持ちたかった相手と面談できた」「視野が広がった」等のお声を頂きました。

交流会の様子

交流会の様子

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