MRI株式会社三菱総合研究所

INNOVATION NETWORK FOR CO-CREATING THE FUTURE

未来共創イノベーションネットワーク
2018年度総会を開催

「未来共創イノベーションネットワーク(以下、INCF)」発足後、1年が経過、62社・団体でスタートした会員数も104まで増え、多くの皆様からご賛同・ご参画をいただくところとなりました。 過去1年の活動成果を振り返るとともに、新年度の活動を確認する「2018年度INCF総会/懇親・交流会」を2018年4月18日に開催しました。当日は、会員企業・団体から約80名、社内関係者を含めると100名を超える参加者が集いました。

冒頭、三菱総合研究所 代表取締役社長 森崎 孝の挨拶に続き、INCF事務局長の小野 由理より2018年度のINCFの活動方針として、“提供価値の明確化”および“活動見直し・強化”について説明を行いました。具体的には、ファイナリストに対するメンタリング機能を更に強化した「ビジネスアクセラレーションプログラム」(=従来の「ビジネスアイデアコンテスト」から名称変更)の開催やB会員(ベンチャー会員)からの提案・プレゼンをベースに、A会員・賛助会員を交えた社会課題ディスカッションを実施、この結果を踏まえ、新たなSIGを組成する、『共創型SIG』の試行等を予定しています。

続いて、2017年度下期のSIG・WG活動報告として、①渋滞解消WG、②金融WG、③健康経営SIG、④働き方改革SIG、各テーマのリーダーの方から活動実績・成果について、情報共有いただきました。その後、2018年度の新規研究会およびSIG(①Open Innovation Management 研究会、②学び直しSIG、③暮らし価値向上SIG、④農の担い手SIG)の概要説明、募集開始のご案内を起案者からおこないました。

2017年度下期 SIG・WG活動報告

トヨタ自動車 先進技術統括部 AI戦略グループ 東京分室 入江 喜朗氏

トヨタ自動車 先進技術統括部 AI戦略グループ 東京分室 入江 喜朗氏

①渋滞解消WG:「渋滞ゼロ社会を目指した価値創造」

本WGは、「渋滞解消SIG」が発展したもので、A会員7社、B会員2社が参画し、「渋滞のないクルマ社会の実現」を目指しています。SIGでは、渋滞緩和に協力するドライバーにエコポイントを付与し、行動変容を促すモデル発案まで進みましたが、WGでは、そのアイデアの事業具体化に向けて、事業計画を策定し、国や民間企業とも協働しながら、実証実験を実施、企画しています。実証実験では、東名高速道路で渋滞回避の情報提供+ポイント提供を行い、回避行動や行動変容などを調査しました。

2017年度の実証実験の結果、(1)経済的なインセンティブは効果が限定的で、むしろ社会課題解決へ協力しているという内発的な動機づけの方が、効果が高いこと。(2)また、ゲーム性を付与することで参加促進される可能性も見えてきました。2018年度はこれをベースに、経済的インセンティブを付与する方式とゲーミフィケーション的に行動変容を促す方式の2回の実証実験を予定しています。なお、2018年度の実証実験では、INCFのベンチャー会員の技術活用など連携しており、大企業だけの枠組みではなし得なかったスピード感で進めています。INCFが目指す規模や業種、業界を超えた共創が具現化されている例といえるでしょう。

三菱UFJ銀行 経営企画部経済調査室 佐藤 昭彦氏

三菱UFJ銀行 経営企画部経済調査室 佐藤 昭彦氏

②金融WG:「インパクト評価検討について」

本WGでは、社会課題解決型ビジネスに資金がまわる仕組みの創出を目指しています。投資市場の多様化、活性化を背景にインパクト投資は増加傾向にありますが、事業がどれだけ社会課題解決に貢献しているかを測る手法は、必ずしも整備されていません。

このような状況のもと、事業者・資金提供者・行政をつなぐコミュニケーションツールとしてのインパクト評価モデルの枠組み、評価ツールの検討を行いました。“インパクト志向”、“実用に資すること”等を念頭に、資金需要側・供給側の動向等の分析・検討を踏まえて、インパクト評価シートのプロトタイプを作成しました。今後もインパクト評価の普及・実装に向けて活動を継続し、更にプロトタイプのブラッシュアップを進め、今夏以降のその成果を対外発表する予定です。

東京海上ホールディングス 事業戦略部 企画グループ 風尾 雄一郎氏

東京海上ホールディングス 事業戦略部 企画グループ 風尾 雄一郎氏

③健康経営SIG:「健康経営を促進するためのビジネス創造」

本SIGでは、多くの企業が取り組む「健康経営」の推進に向けて、特に「どうすれば、健康意識の低い層の行動変容を促すことができるのか」に焦点を当て、ビジネスアイデアの検討を行いました。検討に際しては、有識者によるゲーミフィケーションに関する知見のインプットや外部講師によるデザインシンキングを活用したワークショップといった検討プロセスを採用しました。最終的に4つのビジネスアイデアを抽出し、行動変容に関するいくつかの示唆を得ることができました。ここではその一部をご紹介します。

■直接的に「健康」を訴求するのではなく、「クールなスタイル」や「美容」など、ユーザーに対して、よりエモーショナルに働きかけ、モチベーションとなりやすい切り口でのサービス構築が有効ではないか。

■個人の意志の力だけで行動変容を促すことは難しいが、「チームのために」、「他人に迷惑は掛けられない」といった他者との社会的な関係性が、行動変容に与える影響は大きく、これを活用できるのではないか。

■かつて存在していた近隣住民同士の声掛けや良い意味でのお節介など、コミュニティに内在する相互関係が弱体化しているが、AIやIoTなどのテクノロジーを活用することで復元し、行動変容を促す力に活かせるのではないか。

これらに加え、業種・業界を超えた密度の濃いネットワークを構築できたこと、アイデア創出のプロセスを体得できたことも大きな成果となりました。

東京地下鉄 経営企画本部企業価値創造部 桶田 麻衣子氏

東京地下鉄 経営企画本部企業価値創造部 桶田 麻衣子氏

④働き方SIG:「「シェアリングによる柔軟な働き方実現」

日本における労働人口減少を解決するには、柔軟な働き方を実現し、生産性を高める必要があると言われています。本SIGでは、これらを実現するためひとつの手段となり得る、“時間”、“場所”、“移動手段”、“人材”の「シェアリング」を中心に議論を進めてきました。起案者である東京地下鉄にとっても、柔軟な働き方の実現が、地下鉄の混雑緩和や定時運行確保につながれば、重要な課題解決となります。社外有識者からのインプットも交え、計5回のワークショップを開催し、最終的には、子育て支援関連のシェアリングビジネスを中心に、複業(副業)支援・マッチングサービスまで、4つのアイデアが成果として発表されました。今後は、各ビジネスアイデア提案チームメンバーがピアグループを組成し、WGの立ち上げをも視野に入れ、議論、検討を継続させる予定です。

また、本SIGを通して、「視点の広がり」「社会課題解決への意識の高まり」などが得られたこと。特に所属組織を超えて、志を同じくする参加メンバーと熱量のある議論ができたことも、大きな成果となりました。一方で、議論の成果をそれぞれが社内に持ち帰って、どのように還元させるのかという課題も見えてきました。

2018年度 新規活動紹介

京都大学 経営管理大学院 教授 椙山 泰生氏

京都大学 経営管理大学院 教授 椙山 泰生氏

① Open Innovation Management(OIM)研究会

INCFアドバイザリーボードの一人、椙山教授の起案により、京都大学とINCFとの産学連携研究会「OIM」研究会が6月からスタートします。大企業においては、外部他組織との連携や新規事業、オープン・イノベーション推進部署新設の動きや、外部の起業エコシステムしようとする動きが活発化しており、また、CVCやコーポレートアクセラレーターなどの取り組みも一般的になってきています。

一方でさまざまな阻害要因や課題も多く、試行錯誤の状況も散見されます。係る認識のもと、OIM研究会では、単に企業と大学が協力するというだけではなく、アカデミック側の参加者からの理論・論点整理と本質的な課題の探求、企業側の問題意識との相互作用による、産学共創の新しいマネジメントを目指しています。開催頻度は、月1回程度を予定し、各回ともプログラムの前半は実務家、研究者からのインプット、後半は参加者で議論を深める方式を採ります。なお、INCF会員企業以外にも、別枠で参加企業を募り、計10社程度を目指します。アカデミック側では、京都大学のほか、早稲田大学の参画を想定しています。

ネットワンシステムズ 経営企画本部新規事業推進室 松本 大平氏

ネットワンシステムズ 経営企画本部新規事業推進室 松本 大平氏

②学び直しSIG

イノベーション人材育成の必要性、寿命延伸に伴う就労期間の延長などを背景に、首相官邸が主導する人生100年時代構想会議において、「学び直し」の環境整備が提言されています。企業にとっても急激な事業環境の変化に対応していくため、柔軟な雇用形態とセットになった「学び直し」の促進は、優秀な人材を育成、確保するために重要だと位置づけられています。個人にとって「学び直し」は人生100年時代を生きるうえで必要条件となると思われます。

こうした、「学び直し」の必要性については、国・企業・個人において、広く共有・認識されていますが、実態としてこれが浸透しているとは言えない状況です。「学び直し」は必要だという需要が増える一方、「機運醸成」を含めた解決策の提供が少ないという点で需給ギャップがあるといえ、ここに大きなビジネスチャンスが潜んでいると考えます。

本SIGでは「機運醸成」「学び直しのサイクル継続」「適正なマッチング」の3つの枠組みで検討を進める予定です。本SIGを通じて、「学び直し」を阻害する要因や課題を特定し、学び直しのサイクルを回すための仕組みを検討、ビジネスモデルのプロトタイピングを作っていきたいと考えています。

TOTO ビジネスイノベーション推進部 イノベーション推進一グループ 佐藤 祐輔氏

TOTO ビジネスイノベーション推進部 イノベーション推進一グループ 佐藤 祐輔氏

③暮らし価値向上SIG

いま、家そのもののあり方、暮らし方が大きく変わりつつあります。テクノロジーの進歩は、センシング、モニタリングを中心に住宅のIoT化が進み、「スマートホーム」が脚光を浴びています。一方、「シェアリング」をキーワードに暮らし方が多様化しつつあります。二地域居住や異世代ホームシェア、民泊などがその良い例です。 こうした状況のなか、本SIGでは、これからの安心・安全で、快適な新しい暮らしのあり方、その実現方法について、現状把握(=インプット)とビジネス創出(=アウトプット)の2部構成で進めていく予定です(5月から9月まで全5回開催)。

先ず、目指すべき安心・安全・快適な暮らしのビジョンを認識・共有し、現在の住宅の状況や技術進展の概況を把握し、どのような暮らし方が興りつつあるのか現状整理をおこないます。これを踏まえて、新しい暮らしを実現するビジネスの方向性の検討、ビジネスを実施する上での障壁の解決策を検討し、ビジネスアイデアの具体化を図ります。また、インプットのなかでは、行政やアカデミア等の有識者・専門家や住宅関連技術・新ビジネスの動向に詳しい宿泊・住宅業界の方を、ゲストスピーカーとしてお招きする予定です。

ヤンマーホールディングス 経営企画部事業化推進室 鶴 英明氏

ヤンマーホールディングス 経営企画部事業化推進室 鶴 英明氏

④農の担い手SIG

ご承知のとおり、食の生産分野である第一次産業は、国内では縮小傾向が続いています。だからこそというべきか、見方を変えると、今後市場を活性化できる可能性もあります。しかし、農業問題は多様な問題を孕み、一事業者だけの活動や議論で展望が開けるわけでもありません。ヤンマーでは、「食料生産とエネルギー変換の分野でより豊かな暮らしを実現する」ことをミッションステートメントにしていますが、農業は事業性だけでなく公益性ともリンクしています。就農人口の低下、事業性の観点から生産拠点を海外へ移そうという動きもありますが、国策としては必ずしもベストではありません。その一方で、就農支援は政策頼み、地域任せで十分な議論もされず、主体的な取り組みに欠けている印象があります。

また、農業は農家というプロがいる一方で、趣味として行う人もいるなど、多様性に富んでいます。こうした背景も踏まえ、本SIGでは、“人”にクローズアップし、新規就農者を増やしていくサービスについて検討します。ビジネス化までこぎつけるのにはハードルは高いとは思いますが、じっくり議論する必要があると考えています。5月からスタートし、2018年度上期は、ビジネスアイディエーション(=新規就農パッケージのデザイン、提供価値に関する仮説検証等)に充てる予定です。

INCF新規会員の自己紹介・事業PR

後半のプログラムは、新規にINCFにご参加いただいた会員24社・団体の方に登壇をいただき、所属部署でのイノベーション関連の取り組みや自社事業のPRを行っていただきました。

<登壇企業・団体> ※敬称略、登壇順

A会員:凸版印刷、日立ハイテクノロジーズ

賛助会員:九州大学共創学部、大阪商工会議所、奈良県立医科大学、松本市

B会員:エルピクセル、ユカイ工学、JOINS、べスプラ、KOMPEITO、ZEROBILLBANK JAPAN、シマント、Nextremer、トライリングス、T-ICU、TRUNK、知能技術、テンアップ、LEARNie、笑下村塾、ヘルコミラボ、Hmcomm、Payke

交流・懇親会

総会後には、交流・懇親会を開催しました。登壇、ピッチいただいた18社のB会員(ベンチャー)のうち17社がデモブースを出展、参加者同士の会話も弾み、密度の濃いネットワーキングタイムとなりました。また、大企業とベンチャー企業間で、改めてコンタクト、次回面談アポまで話が進んでいるケースも見受けられ、マッチングとしても一定の成果をあげることができました。(了)

交流・懇親会の様子

交流・懇親会の様子

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