MRI株式会社三菱総合研究所

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第7回:SNSトラブルの解決を通じて
子どもたちの未来を明るくする
エースチャイルド株式会社 代表取締役 西谷 雅史 氏

教育×ITを軸にSNSに関する課題解決に挑んでいるエースチャイルド株式会社 代表取締役 西谷 氏、エデュケーショナル・ストラテジスト 飯島 氏、エンジニア 藤田 氏の3名にお話を伺いました。

エースチャイルド株式会社 代表取締役 西谷 雅史 氏

エースチャイルド株式会社
代表取締役 西谷 雅史 氏

  • 社名:エースチャイルド株式会社
  • 創立:2013年
  • 従業員数:10名
  • 主な事業内容:
    ■こどもセキュリティ『Filii(https://www.filii.net/)』の開発・運用・展開
    ■マルチSNS相談窓口プラットフォーム『つながる相談(https://tsunasou.jp/)』の開発・運用・展開 等
  • URL:https://www.as-child.com/

取り組んでいる社会課題について教えてください。

西谷:教育分野の様々な社会課題をITで解決する取組みをしています。次の世代の役に立てるように、SNSトラブルを解決したいと思っています。このように思ったきっかけは、自分の子供が大きくなった時に心配しそうと思ったこと、また自分がエンジニアであったことが理由です。特に、第三者が閲覧できないダイレクトメール(DM)やSNS内のグループにおけるいじめはクローズドで認識されにくいことが問題になっていましたが、技術者の立場からはリーチできると思いました。

社会課題解決のための事業内容について教えてください。

西谷:まず開発したのがFiliiです。Filiiはスマホを「使いながら守る」ことをコンセプトとしており、SNS起因のトラブルを避けるために子どものSNS利用を見守るサービスです。SNSで犯罪やいじめに繋がりそうな危険なメッセージを受け取った場合に、保護者に知らせる仕組みになっています。危ないキーワードが含まれていることだけが分かり、メッセージ自体は確認できないことが、子ども達からも好感を持たれています。現在ユーザー数は約1.8万人で、類似サービスは日本には存在していない状況です。

なお、このFiliiの実証実験を千葉県柏市で展開していたのですが、その際にLINEによる相談窓口をつくったことがきっかけで、その後「SNS相談」事業へとつながりました。当時LINEの相談窓口はほとんど存在していなかったのですが、その後厚労省のLINEを通じた自殺相談窓口開設や、文科省の教育相談窓口開設など、社会課題に関するSNS相談が拡大してきています。SNS相談は、相談者にとって電話よりもハードルが低いという利点があります。弊社では、セグメント配信やボット機能を含むSNS相談プラットフォームとして「つながる相談」を構築しており、SaaSとして提供しています。

目指しているゴールと現在の手ごたえはいかがでしょうか?

西谷:Filii立ち上げ自体が一定の評価を頂けており、インパクトと考えていますが、そもそも情報モラルの課題があります。情報モラルの習得が当たり前になっていく必要があり、年間100回程度講演を行っています。家庭や学校でやるべきことをソリューションに落とし込みたいです。

藤田:FiliiはiOS未対応ということが課題となっています。技術的には不可能ではないのですが、その実現のために必要なハードウェア開発への投資および在庫のリスクが問題となっており、対応に踏み切れていないという現状があります。

インタビュー風景:エースチャイルド 西谷 氏(左上)、飯島 氏(右上)、藤田 氏(下)

インタビュー風景:エースチャイルド 西谷 氏(左上)、
飯島 氏(右上)、藤田 氏(下)

コロナ禍の中での事業の手ごたえや課題感はどのようなものでしょうか?

西谷:Withコロナについては、月並みですが「遠隔(リモート)」での支援が大きなキーワードだと思います。その中で、SNS相談については、ボットを含めた自治体SNS情報発信、コロナウィルスに関する安全確認相談など、多くの引き合いを頂いていますが、優先順位をつけてできることから対応しています。

飯島:私たちの方針として、教育委員会や学校の教員と対話を重ねながら、可能な限り学校の実態に見合ったシステムのご要望を具現化し、「教員のはたらき方改革」の一助となれるよう開発を推進しています。その1つとして、LINEの機能を活用した保護者との連絡・情報共有システム「つながる連絡」を提供しております。今後は校務支援だけでなくオンライン授業の支援機能を実装していく見込みです。

「つながる相談」の管理画面(デモ)

「つながる相談」の管理画面(デモ)

ステイクホルダーの巻き込み方は、どのように進められていますか?

西谷:学校や教育委員会への飛び込み営業はしておらず、引き合い対応が中心となります。管理職を含む教員の方々から「こういうことができるようになると助かるのだけれど!」と要望やアイディアをいただける関係づくりを大切にしながら進めています。実証実験から着手したり、場合によっては決裁権を持っている方にアプローチする場合もあります。

キャリアや携帯ショップを巻き込むことも重要です。例えば、UQモバイルは子ども向けを意識しており、購入の際にFiliiのオプション契約を用意いただいています。イオンモバイルにも導入いただいております。

今後の期待・抱負を教えてください。

西谷:日本の教育をアップグレードしていきたいです。日本の公教育支出はOECD諸国の中で最低レベルという話もありますが、先生がやることが多すぎると思います。IT対応は本来の仕事ではないはずなので、学校の現場に事業者が入っていけるようにして、先生は本業である子どもたちへの授業や悩み対応等に集中ができるようにしたいです。

MRI's EYE

子どものスマホ普及率は中学生で6割以上となっており、トラブル防止や適正利用促進はデジタル時代の大きな教育課題です。また、コロナ禍によりオンライン教育のニーズも加速しており、今後教育のアップデートに向けたさらなる貢献・活躍が期待されます。

本稿は、INCF会員として、社会課題解決のために共に活動するベンチャー企業を紹介するシリーズ記事です。

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